高級車を持っていると、盗難されないかどうかと不安にさいなまれることがあります。セキュリティ対策はいたちごっこ。 セキュリティの技術が発展していく一方で、セキュリティを突破する技術も磨かれていくものです。
CANインベーダーとは？
近年の車は、ほとんどがコンピューターによって制御されています。CANとは、Controller Area Networkの略で、簡単にいってしまうと、車の電子回路やエンジン・装置の制御に必要なネットワークの規格（回線）です。
例えば、エンジン、ブレーキコントローラー、エアコン、ドアユニット、ABS、エアバッグなど、さまざまな装置を繋いでいます。CNAは車載ネットワークのために設計された規格です。設計がシンプルなのでスペースも重量も最小限にできるというメリットがあります。
CANインベーダーとは、車のコンピューターネットワークに侵入する特殊なツールを使って、車の機能を操ることです。CANを悪用するわけですね。高級車の盗難といえばリレーアタックが有名ですが、電波を妨害することで盗難を防げるリレーアタックと違い、CANインベーダーは電波など関係なく車を操作できてしまうのです。
CANインベーダーのためのツールは、裏で高額取引されているそうですが、リレーアタックよりも簡単で確実な方法であるため、それでも購入する人がいるようですね。
CANインベーダーを防ぐ術はある？
実は、この盗難には現状で有効な手段がないとされています。ただし、CANインベーダーを防げる可能性がゼロというわけではありません。
CANインベーダーでコントロールしやすいのは、基本的に純正のセキュリティなんだそうです。そのため、別途オプションでカーセキュリティを上乗せすることで、CANへの侵入を防げる可能性が高まるといわれています。
高級車を狙う窃盗団は、手慣れており盗難の技術が優れていることが多いのが特徴です。市販のカーセキュリティは盗難にはあまり効力がないでしょう。カーセキュリティはお高いですが、オプションでしっかりつけてもらったほうがよさそうです。
それでも、CANインベーダーによる盗難を100%防げるわけではない、というのは、やっぱりおそろしいことですね。ここまで窃盗団の手腕が上がっていると知ると、もはやハイテクではないクラシックカーのほうが盗まれにくいのでは？と錯覚してしまいそうです。実際は、物理的なキーがあるので盗まれやすいのですが……。
カーセキュリティを入れたり、リレーアタックのためにスマートキーの電波を遮断したり、ハンドルロックやタイヤロックをしたりと、複数の防衛手段を組み合わせて、愛車を守る可能性を少しでも高めることが重要そうです。