お金を持っていると、どうしても頭を抱えるのが税金の問題だといいますね。
我が家も裕福なほうだったので、悩みの種だっただろうと今では分かります。所得税は、金額が高くなるほど増えていくからです。
節税対策に向き合わなければ資産家になれない
税金を払うのはやぶさかではなくても、所得の45%も徴収されるのをおとなしく待つわけにはいきません。お金を稼ぐことはもちろん、「守る」ことにも関心が無ければ、資産を増やすことはできないのです。
そういう事情があったからか、我が家では頻繁にお金の話が飛び交いました。税理士や公認会計士、弁護士の先生が自宅にやってきたこともありました。小学生くらいの時から、訳の分からない会話をする両親を見上げていた記憶があります。
両親がお金の話をしていてよかった
日本では「子どもの前で家計の話をしない」という説が一般的のようですが、国がどうとか、所得がどうという話ではなくて、家庭やご両親の性格やライフスタイルによって千差万別なのでしょう。私にとっては「親は(時に子どもを差し置いてでも)節税対策を考える」人たちでした。
私は楽器、華道・茶道、乗馬など、さまざまな習い事をさせてもらいました。受験対策として家庭教師をつけてくれたこともありました。親は子どもに良い教育を受けさせたいと願うものらしく、私のことを第一に考えて教育環境を整えてくれたのは確かです。一方で、「知識や人脈などは生きるのに役立つし、持っていても課税されない」という思想もあったようです。両親たちにとっては、目に見えない知識・スキル・人脈も「資産」であり、子どもへの教育は「投資」に近いようでした。過剰な期待だと押しつぶされそうになったこともありますが、どういう結果でも否定せずに受け止めてくれたからこそ、のびのびと成長できたと感謝しています。
私の友人の1人は、個人事業主として立派に生計を立てているご両親のもとで育ちました。ご実家の世帯年収が1,000万円に届いていなかったそうですが、自宅では頻繁に帳簿が広げられ、幼い子どもの前でも家計のやりくりについて真剣に議論が交わされていたといいます。進学をするときに「お金は大丈夫?」と聞いても怒ることなく、「国公立なら進学させられる蓄えがあるけれど、私立は難しい」とはっきり伝えられたそうです。彼女はこの時の気持ちを「選択肢が狭まったことに対するプレッシャーもあったけれど、自分が家族の一員だと認めて家計の話をしてくれたことが何よりも嬉しかった」と話してくれました。
こういった話をしながら、きっとご家庭でお金の話が出なければ、私たちのように友人同士で金融知識の情報交換をすることもなかっただろうと思いました。両親がお金の話をすると、子どももお金の話に対する抵抗感がなくなるのかもしれず、それは自力で資産を築くうえで重要な素養だと思います。時にはデメリットを感じることもありますが……これは次回にお話しするとしましょう。